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現実と幻に揺れる女性が幽霊に導かれ失踪した夫に思いを馳せる『真鶴』【読書屋!】

どうも、ケスイケリーガです

僕の大好きな作家の一人川上弘美『真鶴』の紹介です!

夫が失踪し現実と幻の間で揺れる女性を描いた不思議な物語です

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登場人物について

この物語の主人公は、12年前に夫が失踪し母と娘と3人で暮らしている京(けい)という女性。

彼女は「ついてくるもの」の存在を感じる

「ついてくる」と書かれているが、憑いてくる・付いてくる・着いてくるのどれもが正しいように解釈することができる

彼女についてくるものは時に気配が強くなり時に気配が弱くなったりする

それでも、気配が強くなった時には会話をするにまで存在をしっかりと感じる

現実では、不倫中の男との逢瀬を重ね、幻では、ついてくるものに導かれ失踪した夫の行方を探す

京の娘は百(もも)という名前。昔はいつも一緒で心の距離感も近かったはずなのに、思春期だからか心の距離が遠くなっていると京は感じている

ちなみに、この名前を見ればわかることだが、10の2乗が百、10の16乗が京と数字の単位になっている。ここから、百は京の要素を持った娘だということがわかる

 

ざっくりあらすじと感想

12年前に夫が失踪した京は母と娘と暮らす。

娘との心の距離が娘の成長とともに離れていくことを感じながら、娘の言動にいつも心が左右される。

 

ある日、失踪した夫が残した日記に「真鶴」という文字を見つける

「真鶴」に夫の失踪の手がかりがあるのではないかと考え「真鶴」へ向かうと普段から感じる「ついてくるもの」の気配が一層強くなる

 

「真鶴」から帰ると、不倫相手の男との逢瀬を重ねながら3人での暮らしを営むという現実の生活が待つ

 

幾度か「真鶴」へ向かう中で、「ついてくるもの」が「真鶴」から出ている船に乗らなくてはならないと言う

京はその「ついてくるもの」が失踪した夫の行方を知っていると考え導かれるように「真鶴」へいく

「ついてくるもの」の気配は明確にそこに在るものとして感じられるほど強くなり、それは心の距離が近くなったということだった

 

真鶴に行くと現実とは隔絶された幻の世界に足を踏み入れる。

この世界にいれば失踪した夫と会えるかもしれないが、この世界から出れなくなってしまう。

百に会えないのは嫌だとして、その世界から抜け、現実に戻ると「ついてくるもの」の気配は感じなくなっていた。

 

 

心の距離というのが頻繁に描かれます

娘との心の距離感だったり「ついてくるもの」との心の距離感だったりが川上さん独自の繊細なタッチで描かれます

現実にこの京のような女性がいたらちょっと病的なのかなと思ってしまう

小説の中に幻の世界や「ついてくるもの」(つまり幽霊なのだけれど)を題材に描いても小説として成立するのはすごいなーと。

 

僕の好きな作家さんです。おすすめです

それでは、グッバイ

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