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読書屋!BookBankどっとこむ

◇年間100冊読書日記◇趣味の読書の語り部屋

二子玉川を舞台にスタイリッシュなマスターに惚れる『バー・リバーサイド』【読書屋!】

どうも、こんにちは!アリガテンです。

今日は、二子玉川在住の作者が描く二子玉川のバーが舞台の小説吉村喜彦『バー・リバーサイド』を紹介します。

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 二子玉川にはよく行くので、二子玉川が舞台!とPOPが書いてあるのを見て手に取ってみました。この著者のことは知らなかったのですが、サントリー(プレミアムモルツにはお世話になっております)の元社員だったようです。実際、本書の中にはお酒の名前や飲み方、お酒に関する背景知識などが満載で流石サントリーで働いていただけあるという印象です。

 

舞台は二子玉川のバー、主人公はバーのマスター。個性豊かなお客さんとのやりとりを描いた作品。バーのマスターとお客さんという形の物語はそんなに新鮮味はないのだが、二子玉川という土地とストーリーが密接に結びついていることとストーリーの中に出てくるお酒が生き生きとしていることでこの小説に独自性を生んでいる。

 

6人のお客さんとのやりとりを物語にしているのだが、基本構図はマスターがお客さんの悩みを聞きマスターなりの含蓄のあるアドバイスをその人の悩みないしアドバイスにあったお酒をふるまうという流れ。

この流れがいちいちスタイリッシュというかおしゃれというか読んでいて一切淀みがない。まるで二子玉川が上流から下流へと流れていくようにストーリーも文章も心地よく流れていく。その流れの中に、現代で暮らす様々な人の悩みが打ち明けられ、それを美しい画が思い浮かぶように描写されるカクテルとともに解決策を提示していく。

バー・リバーサイドのバーとしての雰囲気がすごく鮮明に伝わってきて、このマスターの作ったカクテルを飲みたいとも思わされるし、ここで飲むお酒はバーの雰囲気で3倍も美味くなるんだろうなという想像すらさせる。

 

バーという場所が人と人とが結びつく交点となり、その光景は羨ましくも暖かみがあり私にもこんな行きつけのバーがあればななんて気持ちにさせる。

バーのマスターがお客さんに言った言葉が素敵なので、今日はここから。

 

"「無意識ではわかってるんですよ。でも『嫌いと思っちゃいけない』って自分に言い聞かせる。だから、よけい力が入って、『好き』と思い込もうとする。ひとを嫌うのはエネルギーが要りますからね。波風を立てないほうが楽なんです」"

  

ほんとうは「嫌いだ、良くない」って思っていることがあっても、そう思ってはいけないと思い込み自分の目も心も覆う。そうなってしまったときに最後に苦しむのは自分自身なのだ。本当の気持ちに正直になろう。いまのあなたはバーのマスターに相談したい悩みはないだろうか??