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◇年間100冊読書日記◇趣味の読書の語り部屋

<『握る男』原宏一>果てしないほどの力強さと野望で突き進む「食」ものがたり【読書屋!】

どうも、こんにちは!三度の飯より本が好きアリガテンです。

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今日は以前紹介した『床下仙人』を書いている原宏一さんの『握る男』を紹介します。

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正直、『床下仙人』を読んでから原宏一さんの小説をごりごり読んでみたくなって、買い漁ってます!!部屋の片隅に、原宏一ゾーンができてますからね(笑)『床下仙人』のユーモラスで爽快な雰囲気を期待して読み始めた『握る男』

 あれ!?

ぜんぜん雰囲気違うぞ・・・

もう、同じ作者かどうかすら怪しくなるくらいテイストの違う作品でした!でも、それは決してマイナスの意味ではなく、かなりプラス。原宏一さんの世界観の幅広さを垣間見てしまった感じです。

 

『握る男』、寿司職人が主人公の物語です。両国にある寿司屋に見習いとして入った少年たちが自らの寿司屋を出店し次々と成功させていき、最後には日本の食産業を彼らの手中に収めるまでの道程を描く。

人から好かれる術を身に付け誰からお気に入りになることのできる徳武ことゲソと不器用で実直すぎる金森のコンビ。裏表なく良い人柄のように見えるが、ゲソは処世術の天才。人を使うことに長け、自分の目的の達成ためにはどんなことでも実行する。

 そんなゲソに金森は助けられつつ次第とゲソの術中にはまっていく。厳格な寿司屋の序列もゲソの寿司職人としての器量と持ち前の処世術でひっくり返し、ありとあらゆる手段を駆使し、日本一の寿司屋でとどまらず日本の食産業をすべて手中に収めるという野望を打ち立て、ゲソはその野望のために邁進していく。金森もゲソの右腕として、ゲソに認められたくて、ゲソのために行動していく。

 

"「カネさん、もう一度言っときますけど、目的に辿り着くためには何をどうやったっていいんす。何をどうやろうが相手の上に立ってしまえば、こっちのもんなんすからね。だって上に立たなきゃ何も始まらないじゃないすか。目的への近道はそれっきゃないんすよ」"

 

この作品の面白いところは、なんといってもゲソの「ものの考え方」である。鬼、悪魔と叫ばれても仕方がないほどに徹底したゲソの目的達成力。

(私も含めて)なんとなーーく生きてしまっている人にとっては、野望を実現してしまう男はこれほどまでに強く狡猾で図太く生き抜くのかと驚きの連続かもしれない。人の心をつかむこと、人をうまく使うことでより大きな成果がもたらされる。人の力を舐めちゃいけない。

私自身、大学生の頃、例にならってサークルに所属していた。私の代の幹事長はとても良い幹事長でその代の象徴的な奴だった。でも彼はなんでもできるスーパーマン・・・ではなく、むしろできないことの方が多い奴だった。でも、彼のためならと言って面倒なこともやってやろうというできる奴らが周りに沢山いた。彼は周りを動かす力があったんだ。だから、良いサークル運営ができていた。

その面ではゲソも同じタイプなんだと思う(ゲソはなんでもできたが)。

 

自己啓発本やマーケティング・コミュニケーションの教科書を実践しているかのようなゲソの生き方とその行動の裏にある考え方を垣間見ることであなたの日常でも活かせることが散りばめられている。原宏一小説のなかで最も好きな作品です!おすすめできます。

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