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<『神の値段』一色さゆり>このミステリーがすごい!大賞のミステリーはすごかった!!!

どうも、こんにちは!

三度の飯より、本が好きアリガ10です。

 

 

今日紹介するのは『神の値段』です。

 

2015年の「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作品です。

 

第一回「このミステリーがすごい!」大賞の銀賞を受賞した東山彰良さんが『流』で直木賞を受賞しました。この文学賞の注目度も上がるのかなとか個人的に思う中、2015年で大賞を受賞した2作品のうちの一作が一色さゆり さん『神の値段』です。

 

タイトルから神様でも出てくるのかなと思い読み始めると、アート・美術商が舞台。

 

人前には決して姿を絶対に見せない芸術家・川田と、その芸術家の作品を巡り画廊経営者の唯子と画廊に勤める佐和子が活躍する。

 

作者の一色さゆりさんは東京藝大卒で美術界を非常に具体的に的確に描き、設定の詳細が非常にリアルなため、美術なんてほとんど触れたことのない私も物語の中へ自然と引き込まれていっちゃいます。

 

 

芸術家・川田の作品は熱心なコレクターがおり非常に高値で取引される。

 

作品は毎月作成されるが川田自身は姿を誰にも見せない。唯一、画廊経営者の唯子だけが川田と接触しプライマリー・マーケット(美術作品の一次販売者というところか)として川田の作品を販売している。

 

作品は作成されるが川田は姿を見せない。世の人々は川田が生きているかどうかすら把握できていない。

 

死んでいるかもしれないのに作品は世に出る。世に出た作品は非常に高額で取引されるほど魅力的であり、姿を見せない川田の神秘性と作品の評価により、彼は「神」に近づく

 

そんな中、彼の初期の作品が唯子の手によって発見され、その作品がマーケットに出れば川田作品の中でも最高値になることは確実であった。

 

その発見によって、多くのコレクターが、美術品の転売で儲けている輩が、騒々しくなる。唯子の死と川田の初期の作品を巡り、唯子の画廊に勤める佐和子の奮闘が始まる。

 

 

 

"私は神になりたい。・・・中略・・・神になるためには、二つの事を同時に達成せねばならない。作り出す事と、存続させる事。私は神として、誰にも成し得なかった事を実現させたい。しがらみや分類から、超越した所で評価されたい。不在でありたい。永遠の芸術を作り出したい。私自身の手かたも脱したものを、作り出したい。信仰を叶える為に、私は姿を見せてはならない。—―アートの本質は、宗教的なものです。"

 

 

 

現代美術界を背景に、見守りたいと思える登場人物たち。アートとビジネスの問題を浮き彫りにし、読者をぐいぐい引き込む。素敵な小説です。